死刑制度廃止論議について 種々の法律にはそれぞれ利点がある。これは私の考えであるが、特に異論はないだ ろう。何故なら利点のない法律があれば、議論の余地なく廃止されているはずだから である。では、死刑の利点とは何か。以下に三点挙げる。 まず確実に言える利点がある。再犯の可能性を完全になくす点である。日本の刑務 所は再犯予防教育が不完全であるとの指摘が以前からある。再犯予防教育が完全であ ればこの利点はなくなる。つまり、代替可能な利点である。故に、死刑廃止の前提と して再犯予防教育の充実化を図る必要があると思われる。 第二の利点は、無駄な歳出が少なくなる点である。犯罪者が生活する際にかかる費 用は税金から支払われている。冤罪の可能性がない場合、速やかに死刑を執行するこ とで、税金の無駄遣いが減ることは確実である。 第三の利点は、死刑制度そのものに確実な欠点が存在しない点である。死刑廃止側 の主張は犯罪抑止効果への疑問、憲法第三十六条の残虐な刑罰に相当するもの、生命 権に対する冒涜、冤罪に対する救済措置が不可能、など様々である。しかし、いずれ の主張においても論理としては弱く、死刑存置側からの反論を許している。例えば、 死刑が違憲であるという主張に対しては、昭和23年3月12日最高裁判所大法廷判決な どの具体的な判決から、その主張が認められないとされている。冤罪に関しても、 「刑執行の後に無罪が確定した事件」及び「真犯人が確定することで無罪が確定した 事件」の例が日本ではまだないことから、死刑廃止を訴えるには弱い主張である。 以上の三点より、私は死刑存置論側に賛同する。社会が目指すべきは死刑があって も必要としない社会であると私は考える。死刑を廃止したところで何も変わらない。 犯罪を減らすことと、死刑を廃止することは関係がない。だから私には、死刑存廃問 題が無駄に思える。 もどる