日本の英語教育 日本語は発音の区別が平易である。これは英語の習得において、時折問題とされる ことがある。英語の発音の区別は日本語と比較すると大分複雑だからである。ゆえ に、英語を小学校から学ぶ、という考えが主流になってきた。中学、高校と英語を勉 強してきたのにもかかわらず、英語を扱えないという親が多数存在することもこの考 え方が広まっている理由だろう。そこで、小学校への英語教育導入がもたらすものを 改めて考察してみたい。 日本人が英語を苦手とするのは、よく知られていることである。最近、アメリカ合 衆国の非営利団体ETCが実施しているTOEFL iBTという英語試験が日本でも導入され た。その中でも、speakingセクション、すなわち会話能力を計る試験は現在日本人の 平均点数が全百四十七カ国中最下位だという。こうした結果を理由に、小学校での英 語教育はまず「聞いて分かる」ことを目標にすべき、という意見もある。小学校に英 語が導入されれば、中学校で会話、聞き取りに重点を置いた授業を行うことも可能に なる。そうなると、必然的に日本人の英会話能力も向上するであろう。 しかし、小学校に英語教育を導入することに反対する人は多い。斯く言う自分も小 学校に英語教育を導入することには反対である。受験英語は日常生活や会社内では使 えない、という意見は多い。授業時間を増やせば喋ることができるというわけではな い。上手に教えることができる英語の教師の数も限られていれば、予算に余裕がある わけでもない。まずは中学校、高校の英語の授業において、英会話の割合をより大き く取ることが先決である。また、英語の授業ではもっと英語による討論を増やすな ど、発言の機会を多くとるべきである。英語を喋る割合をより大きく取れば、発音よ りもむしろ単語や文法が合っている必要があることも理解できるだろう。日本ではよ く勘違いされているが、英語が世界において主流の言語であっても、アメリカ英語が 主流というわけではない。アメリカ英語の発音ができずとも問題はなく、発言できな いことに問題があるだけなのである。日本の英語教育を見直すとき、この観点から見 直しする必要がある。 日本語と英語は大きく異なる。だからこそ、アメリカ英語をそのまま教える必要は ない。恥ずかしがらず、日本式の英語で発言できるような教育こそ必要であり、小学 校への英語教育導入は早計である。小学校では日本語や日本文化についてじっくりと 学ばせる。学んだことを、中学や高校で英語に置き換えて発言できるようにする。こ れができて初めて、小学校への英語教育導入の議論を開始すべきだろう。 もどる